AS~天使の小夜曲

NOVEL · 日本語

AS~天使の小夜曲

チュン、チュンチュン、チュンチュンチュン。 木々の鳥が、澄んだ声で歌っている。 鬱蒼とした森は朝露に濡れている。 森の木陰に、陽光がまばらに降り注ぐ。 今日も、暑い一日になるだろう。 遠くを見上げる。 ──もう、ずいぶん遠い道のりを歩いてきたようだ。 旅。 私は旅をしている。 どこへ行こうと……長い旅。 暗く鬱蒼とした森を抜け、見渡すかぎりの海を見て…… 風の国、水の国、火の……

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チュン、チュンチュン、チュンチュンチュン。 木の上の小鳥が、澄んだ声で歌っている。 鬱蒼とした森は、朝露に濡れていた。 森の木陰に、陽光がまばらに降り注ぐ。 今日もまた、暑い一日になりそうだ。 視線を、遥か彼方へと向ける。 ──ずいぶんと、遠い道のりを歩いてきた気がする。 旅。 私は旅をしている。 どこへ行っても……長い旅。 薄暗い鬱蒼とした森を抜け、見渡す限りの海を眺め…… 風の国、水の国、火の国、そして土の国を巡り歩き、 ひとりきりの旅。 旅が、とても好きだ。 楽器を背負って、街から街へと渡り歩き、 渡り鳥のような旅。 ──しかし。 どこか、何かが欠けている気がする。 『あの日』、私が失った何か。 記憶を失った『あの日』、 さらに、この世界の天使信仰の中心と呼ばれる場所。 目的もなく、長く、終わりのない旅。 私の時間は止まってしまった。 純白で穢れのない輝きを保ったまま…… 記憶を失ったことで胸に空いた空洞を埋めるために、 この世界には存在しない鳥から取り外されたもの。 あれほど時が経っても、初めて見たときと変わらず、 流浪と追放の日々を繰り返している。 不老不死…… ………… たしかに、普通の羽根ではない。 ………… 不思議なことに、地図にはこの街が載っていない。 ………… 【魔法使い】 私の時間を止めたものを探すために、 そう、あのときから…… 途切れることのない旅。 場所は……だという。

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美しい夕陽が、空一面を赤く染めている。 これほど良い天気なのに、 街では疫病が猛威を振るっている。 だが、私自身に関して言えば、 今の体調は、まだ悪くない。 夢の中の少女が言っていたように…… ラスティとの関係が、 私の体調に影響するのだろうか? うん、もうそろそろ寝よう。 熊除けの結界の魔法薬は…… あれ? 結界の魔法薬が、もうほとんど尽きている。 これはまずい。 毎日使うものだ。 切れる前に、急いで補充しなければ。 明日いちばんにやることは、 サリアのところへ行くことだ。 【%n】 「サリアはいるはずだよね?」 カチャ。 【%n】 薬をどれだけ作っても、まだ足りないんだ」 ウィレス魔法店で作られる魔法薬、 【サリア】 「どうしたの?何か用?」 「それから……私にはもっと忙しいことがあるの」 【サリア】 お母さまには頼めないの……」 【%n】 サリアの話によれば、 【%n】 絶対に成功する絶好のチャンスだ。 材料を探しに行く暇なんて、まったくないの」 %n、先に入って!」 【%n】 【%n】 【%n】 「サリアひとりで作ってるの?」 「……ええっ?」 彼女は熊なのか? 「うん、本当に面倒で…… 「うん、結界の魔法薬なんだけど……」 「いったいどうしたの?何があったの?」 つまり、王都にある教会本部で使われるもの。 いらっしゃい」 【サリア】 「忙しいの? 【%n】 「あうう~、%n、怒ってる?」 彼女に聞いてみよう。 「あわわわ……

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【12月4日】 この前、フィアから聞いた話。 天使の力……そしてあの、決まった型の病状。 彼女の言うことは……私と似ている。 天使の力によって、時間を止められる…… 誰かが、かつてそう教えてくれた。 この街には……まだ何か秘密があるらしい。 あの人は……きっと全部知っている。 教会へ行こう。 牧師さまに……確かめてみよう。 ずいぶん長い階段を上り、 フォディーユーの町の反対側にある教会へ向かった。 教会に着いた。 牧師さまに会えますように。 【クラピス】 「すみません、牧師さまはいらっしゃいますか?」 【牧師】 「おお、クラピス……噂は聞いているよ」 【クラピス】 「噂……?」 【クラピス】 永遠の命なんて、願った覚えはありません!」 【牧師】 誰かがすでに叶えた願いのせいで、 ならばフィアとラスティは…… あらゆることを実現させる天使の羽根」 神の力が導く奇跡……とは、いったい何なのですか!?」 だから……ありがとう」 だから、あんなふうになったのだろうか? 天使の羽根に願いをかける者は、代償を払わねばならない」 【牧師】 あるいは奇跡と呼ばれるものは、すべて超常の力だ。 それも天使の力なのですか?」 「……いくつかお聞きしたいことがあります」 【クラピス】 【クラピス】 【クラピス】 そして、代償として永遠に旅を続けることになるのかもしれない」 「はい。 時間は、そこで初めて止まるのです」 牧師さまは、なおも頭を下げて礼をしている。 【牧師】 【牧師】 ……

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何をすればいいか思いつかず、時間はたっぷりある。 今日は何をしよう? あ、そうだ! 隣の町へ行こう。 この前、フィアが海の幸が欲しいと言っていた。 誘いに……フィアのところへ行こうか? あのことは、サリアから聞いている。 でも、何かの勘違いだったのかもしれない。 アングルロード旅館に着いた。 フィアはいるかな? ──そう思った、ちょうどそのとき。 アングルロード旅館の扉が、ちょうど開いた。 【フィア】 「あれ?クラピス?」 【フィア】 「どうしたの?お腹すいた?」 【クラピス】 「違う」 【フィア】 「あ、わかった。私をデートに誘いに来たんでしょ?」 【クラピス】 「……うそ!?本当!?」 【フィア】 「──私、行けない」 「ワールから?風の国から?」 【フィア】 【フィア】 【フィア】 【クラピス】 【クラピス】 「この街に越してこようと決めたとき…… 私と本当によく似ている。 「泣いてるの?フィア?」 「冒険?」 この前、海の幸を買いたいって言ってたよね?」 街の人たちもみんな優しいし…… 「実は……私、病気で、街の外に出られないの!」 「知ってる……サリアが言ってた」 こんなに優しい楽師がいたんだ。 【フィア】 【フィア】 【クラピス】 「私、体がとても弱くて、よく昏睡するの。 【フィア】 あんな辺鄙な場所で?」 (なんで睨むの……?) 「……!?思い出したの?」 私、ずっと泣いていたの」 でも、私はたしかにあそこへ何度も行ったことがある」 【フィア】……

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うう──寒い。 こんな天気なら、家に帰って寝るに限る。 寒さをこらえ、急いで家路を急ぐ。 体のほうも…… 最近は良くなったり悪くなったりだ。 早めに休んだほうがいいのかもしれない。 【クラピス】 「うわっ!」 【ラスティ】 「──!?」 突然、角の向こうから人影が飛び出してきた。 【クラピス】 「え……ラスティ?」 ラスティはひどく怯えている様子だ。 【ラスティ】 「!!」 私だと気づいたラスティは、 急いで私の背後に隠れた。 (これはお前の命に関わることなんだ……) あの少女の声が、突然頭の中に響いた。 唾を飲み、乾いた喉を潤して、私は声を出した。 ──突然、 ──うん、気にかけたところで、 「…………(頷く)」 「ラスティ、あれは何だと思う?」 【クラピス】 背後のラスティを庇い、ありったけの力を振り絞って、 【クラピス】 「……う……う……(頷く)」 完全にわかっているとは言えないけれど、 (まずい…… 【ラスティ】 人影……なのか? 【クラピス】 ………… 【クラピス】 【クラピス】 私の自由を奪おうとするかのように。 【クラピス】 ………… 何もかも、なくなってしまう……) 【クラピス】 あのものはすでに消えてしまったのに、 【ラスティ】 「……ラスティ、ここを離れよう」 「怪我はない?」 【ラスティ】 「…………(首を横に振る)」 「ラスティ、遠くへ行っちゃだめだよ」 【クラピス】 私の……

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