魔法の子

NOVEL · SECTION 01 OF 01 · 日本語

魔法の子 — Section 1

魔法の子 挿絵 https://www.bilinovel.com/novel/2184/121384.html

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Section 1

# 魔法の子

## 挿絵

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## 序章

台湾版 転載元:軽之国 スキャン:Naztar(LKID:wdr550) まだ誰もが子どもだったころ、魔法は思いのままに使えた。 行きたいところへ行き、好きなように遊んだ。 背の低い世界は秘密に満ち、割れたビー玉の中には魔力が満ちていた。 走り続ければ太陽に追いつける。声を限りに叫べば、その声は地球の反対側まで届く。 気温は今より暑かった。 時間は今より長かった。 「不可能」という言葉は、存在しなかった。 だから徹は信じていた。どれほど強大な指定災害が現れようと、必ず打ち倒せるのだと。 己の力ひとつで、身の回りのすべてを守れると、本気で思っていた。 荒唐無稽な夢物語だったというのに。 泥だらけのTシャツと、ぼろぼろのスニーカー。 どんぐりと、砕けたセミの抜け殻でいっぱいのポケット。 手の中でぬるくなった小銭と、きれいな川原の石。 あのころ、徹たちはいつもそんなふうに汚れていた。 目新しいものを見つけると駆け回り、暇さえあれば秘密基地で遊んだ。 今思えば、子どものころの自分の気ままな暮らしは、子猫や子犬とたいして変わらなかった。 「よし――」 「お兄ちゃんは変態。」 徹は聞こえないふりをして、撮った写真ファイルをすぐに圧縮し、外部端末でネットにつないだ。 「…………」 歯ががちがちと鳴り、無理やり押し殺した恐怖が、心臓をひどく苛んだ。 「なんなの……黙っててくれない?」 徹が振り返った途……(コンテンツの読み込みに失敗しました。更新するか、ブラウザを変更してください)

## 第一章 三度目のdropout

あの日から、徹は小夜の行方をあちこちで尋ね回っていた。 中学三年に上がると、学校ではいわゆる「進学希望調査」が行われる。生徒一人ひとりに用紙が配られ、将来就きたい職業や、行きたい高校を書くのだ。 周りのクラスメイトが考えながら「料理人になりたい」「進学を続けたい」といった無難な答えを書いているとき、徹はためらわず、「妹を見つけたい」と大きな字で記入した。 その答えは、用紙を受け取った教師を予想どおり大いに悩ませた。数少ない友人たちもそれを見て冷水を浴びせるように言い、「あんなに長く行方不明なんだから、忘れろよ。妹を探すより、自分の将来を考えた方がいい」と口々に諫めた。 徹は諦めなかった。小夜を見つけるまで、「相馬徹」の人生が前へ進むことなど、絶対にありえなかったからだ。 現状、指定災害生物を研究する権威ある機関は、ほぼアメリカ西海岸に集中している。だから徹は、米西と連携し、交換留学制度を定期的に実施している高校への進学を決めた。 彼は無事に入学資格を得た。夏が来れば、飛んでいける。 徹はほとんど毎日、指折り数えて、出発の日が早く来るのを待った。それが「大人」になってから持てる権利だ。かつては手の届かなかった夢に、また一歩近づいたことを、彼は嬉しく思った。 そう心の中で思った。 ところが……。 築十四年、駅から徒歩十五分、家賃五万五千円の部屋には、引っ越しのあとの空っぽの気配が漂って……(コンテンツの読み込みに失敗しました。更新するか、ブラウザを変更してください)

## 第二章 水は低きに流れ、そして天へ還る

校舎の一角に、奇妙な三人組がいた。 全員が私服の女性で、顔色は青ざめていた。 なぜか、一度も会ったことがないはずなのに、徹には見覚えがあるように思えた。 「お兄ちゃん。」 それ以上考える間もなく、彼は校長室へ連れていかれた。 「ずいぶん仏頂面だな。」 校長室のガラスケースには、数多くのトロフィーや賞状、歴代校長と著名人の集合写真、数えきれない書類が収められ、どれもが学校の歴史を物語っていた。 部屋の主もまた、校史の一部である老人だった。 「まったく、これ以上ないほど不機嫌な面だ。自分の不幸を顔に塗りたくって、世間に大声で宣伝しているような卑しい面だな。実に卑しい。ようやくそんな、見ていて心地よい顔を見せられるようになったか、小僧。」 老人は頭が禿げ、長い髭を蓄えていた。老いてなお壮健で、伝統の袴姿のまま静かに立っているだけで、言いようのない圧迫感を放っていた。 校長、田所文太。 歴代校長の写真のいちばん手前にある空白の額には、その名が記されていた。 時島の校長は、一般の学校経営者とは違う。この職は政治闘争と時代の民意に左右されやすく、頻繁に交代する。 ところが老獪な彼はすでに校長を十年以上務めており、市長でさえ気軽に話しかけようとはしなかった。 「それだけ言いたいのか。」 その挑発は見事に徹を怒らせ、凛は額に手を当ててため息をついた。 「会った端から皮肉か。老いぼれ。早く棺桶に入りたいなら、手伝ってやってもいいぞ。」 老人は……(コンテンツの読み込みに失敗しました。更新するか、ブラウザを変更してください)

## 第三章 ウサギ印のバイク

窓の外からチュンチュンと鳥の声が聞こえ、朝の光がカーテンの隙間から部屋に差し込んでいた。 「お兄ちゃん、お兄ちゃん、早く起きて。お兄ちゃん、起きないと遅刻するよ。」 「……………………ん?」 目を覚ますと、凛が自分の肩を揺すっていた。 「やっと起きた。」 「……え? 凛?」 寝ぼけた徹は、なぜ見知らぬ部屋で寝ているのかも、五年離れていた妹がなぜ目の前にいるのかも、すぐには理解できなかった。 「お兄ちゃん、寝ぼけないで。ここは寮だよ。」 「寮……」 記憶が、断片ごとに徹の頭へ戻ってきた。 魔法の復活、時島に来たこと、そして…… 「ちゃんと起きた?」 凛が突然ぐっと顔を寄せ、深藍の瞳で彼をじっと見つめた。 「起、起きた。」 「それなら私の役目はこれで終わり。授業に遅れないでね。じゃあ。」 凛は足元の鞄を手に取り、スカートの裾を翻して振り返り、ドアを開けた。 「そうだ、さっき聞き忘れてた、お兄ちゃん。」 凛にとって、その質問は聞かずにはいられなかった。 「決闘の結果、覚えてる?」 「……覚えてない。」 「……ちょっと待って、予備のヘルメットはあるか。」 命を落としたくない徹は、仕方なくノアの腰にそっと腕を回した。銃を捨てろと命じられた悪役と、動きはたいして変わらなかった。 「な、なんでこうなるんだ!」 警察手帳(注)のような運転免許証が、突然目の前に現れた。証明写真は本人と同じく、得意げな笑みを浮かべていた。(注:日本の警察が身分を示すために使う書類。) 少々驚きながらも、徹はバイクのところまでしゃがみ……(コンテンツの読み込みに失敗しました。更新するか、ブラウザを変更してください)

## 最終章 魔法の子

時島は魔法の島であると同時に、嵐の島でもある。本州の近くを通る弱い熱帯低気圧も、まだ近くで猛威を振るう強力な台風も、台風の季節になれば毎日入れ代わり立ち代わり島を訪れる。 島の住民は、何かといえば風雨に見舞われる環境に、とっくに慣れていた。各家では、日曜に爆睡している男たちが起こされ、雨漏りを防ぐために屋根へ上がって瓦の補修に精を出している。「台風への備えを、あらかじめお願いします!」役場の軽トラックが、屋根を直している親父たちの下を走り抜け、あちこちで放送を流していた。スーパーの台風対策コーナーには、電池と圧縮ビスケットが並び、住民が買い求められるようになっていた。 もちろん、白鷺荘も同じだった。 徹は、暴走事件の処理を終えて三日後の初めての休暇を、寮の手入れに使った。 小雨に濡れながら、屋根の上で補修が必要な箇所を探した。 「……ここだ。」 それはちょうど徹の部屋の真上にある瓦だった。風化して、真ん中から二つに割れていた。 徹はその割れた瓦を慎重に外し、パズルをはめ込むように新しい瓦(見つけるのに大変な手間がかかった)を替え、最後にしっかり固定した。 まだ二箇所、直すところがある。徹に割り当てられた部屋は長いあいだ誰も住んでいなかったらしく、雨漏りする場所がいくつもあった。 次第に強まる雨が、レインコートを打ち続ける。魔法を使えば濡れずに済むが、徹にはその気はなかった。 『――停滞する迷走台風の強い勢力の影響で、四号から六号の新しい台風までも――』 どこからか、ラジオの……(コンテンツの読み込みに失敗しました。更新するか、ブラウザを変更してください)

## エピローグ

「まったくお前は、勝手に無茶をやりおって。」 ここは時島高校の校長室だ。 校長室の隅で、書類の海に埋もれた老人が、苛立たしげに一枚の書類を投げ出した。 「見ろ。米軍も自衛隊も統治局も、挙げ句には桜田本家まで抗議の手紙をよこした。全部お前が蒔いた種だ。」 「確かに、少しは悪いと思ってるよ。」 徹は床に正座して反省文を書きながら、唇を尖らせて答えた。 「でも、ほとんど反省はしてないけどね。」 「正直、わしも同じだ。」 いたずらっ子のような顔をした二人がふんふんと鼻を鳴らし、互いに頷き合った。 迷走台風の襲来から、すでに一週間が経っていた。徹とノアとアリサは短い平和な時間を過ごせたが、ほかの者はそうもいかなかった。竹井と校長はこの一件を収めるために奔走し、両足が折れそうになるまで走り回ったという。 考えてみれば、不思議でもない。 なにしろ時島は、戦略級の魔法使いを一人得たのだ。たとえるなら、地方の小さな島に突然核兵器が配備されたようなものだった。 「見ろ、準指定災害労役の処罰書まで届いておる。」 「それは何だ。」 言い終えた途端、徹は思い出した。 準指定災害労役は、「元」指定災害の者を罰するための特別な処罰条項だ。罰金は、指定災害だった時代に生じた損害の総額である。 「今回、アリサが引き起こした損害の総額は三千億円だ。」 「へえ!」徹は顔を上げて声を上げた。 「なんで人ごとみたいな顔をしておる。」 「実際、俺の話じゃないし……」 「えーと、なにを伝え……(コンテンツの読み込みに失敗しました。更新するか、ブラウザを変更してください)

## あとがき

みなさんは「もし魔法が使えたら」と考えたことがありますか。 私は考えたことがあります。アニメや漫画は言うまでもありません。超能力、第六感、UFO、霊能力まで含めた数々の超常現象に、憧れさえ抱いていました。さらに、それらが実在すると証明する体験談やテレビ特集が、そうした話をいっそう煽りました。そういうものを多く見ているうち、成長の過程でごく自然に思うようになりました。「ああ、少なくとも魔法くらいは、この世にあるんじゃないか」と。 ところが不思議なことに、魔法は存在しません。 いや、身の回りに見えないだけで、どこかには存在するのかもしれない。しかしそれは物語の中の子どもたちと同じで、私の目には存在しないのと同じでした。 その結果、魔法を否定する論拠はどんどん積み上がっていきました。 まず、私たちは魔法を見たことがない。次に、中学生でも見抜ける矛盾した設定。さらに重要なのは、これほど便利なものを、私たちが「生命」の中に見つけられないはずがない、といった類いです。(最後の点はインテリジェント・デザイン論に似た話になりかねませんが、見つけられないことを理由に人を説得できないと言うなら、あの連中は何でもやりますからね。大気の成分を堂々と変えるだけでなく、大量絶滅を一度や二度起こすことさえ厭わない。ストロマトライト先輩は伊達じゃない) そうです、魔法はもともと存在しない…… そう考えれば楽です(あるいは、かえって信じられる)。しかし私は魔法が嫌いなどころか、とても好きなのです。 だから、たとえ私が神学者で、熱心な研究の末に神を否定する結論に至ったとしても、頭を抱えてうめくでしょう。……(コンテンツの読み込みに失敗しました。更新するか、ブラウザを変更してください)

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