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## 人物紹介
台湾版 転載元:棒槌学堂 書源/スキャン/OCR:kratti 一校:kratti マリイ:好野家を渡り歩く家政婦! 可愛い外見の内側は、超毒舌派。 トレードマークは、二つに編んだおさげと濃紺のワンピース。おさげが光るときは、奇妙な現象が起きる?! スリーサイズは、82、58、84。 小山田聡介:好色なドM男。上司・椿木に叱られるのが何よりの楽しみ。実は抜群の捜査の才を持つ刑事(?)。マリイの正体を知ったあと、捜査への協力を頼む。マリイと関われば、とことんツイていない! 箒で殴られ、看板が空から落ちてきて……受難の日々を送っている。 椿木綾乃:別名「八王子県警の椿姫」。三十九歳、いまだ独身の美人警部。結婚への執着を、どうしても捨てられない。容疑者が独身だと知っただけで、捜査のスピードが亀の歩みになる悪癖あり! 魅力ポイントは縁なし眼鏡と美脚! ドSな女……!
## 魔法使いとさかさまの部屋
1 「殺すなら、殴り殺すが一番だ。いちばん簡単で、時間もかからない方法だ」 重みのある低い声が、応接間に響き渡った。着古したシャツ姿の中年男、南源次郎が、もう一度念を押す。 「殴り殺す、で決まりだ。異論はないな」 その一言に、同席していた人相の悪い二人は、揃って頷いた。 その一人、高橋健吾はシャツの袖をまくり、真面目な顔で言った。 「だが、ただ殴り殺すだけじゃ足りないだろう。警察の捜査をごまかす工夫が要る。たとえば――」 「密室だ!」 濃紺の上着を着た男、島尾圭一が先を奪った。「密室殺人が最高だ。誰も侵入できない密閉空間で手を下す。それこそが究極の完全犯罪――」 「待て、島尾」 高橋が話を切った。「密室は非現実的すぎる。理想は、実用的なアリバイだと思う。たとえば事件が新宿で起きているとき、犯人は遠く離れた八王子にいる。そういう――」 「退屈極まりない!」 島尾がテーブルを叩いた。「そもそもアリバイ崩しなんて、映像で処理できるものじゃない」 「何を言う!」 高橋が立ち上がった。「人を殺すときに、くだらない映像のことなんて気にするか!」 高橋と島尾は真っ向からぶつかり、顔を真っ赤にして争った。南源次郎は悠然と二人を眺め、確信を込めて言った。「映像は重要だ。なにせ、これは映画なのだから」 殺人の画面は、もともと鮮やかで美しくあるべきだ。源次郎の低い声が、再び応接間に響き渡る。対立していた二人は福音を聞いたように、たちまち素直に俯き……
## 魔法使いと失われたボタン
1 木の床の上に、色とりどりの運動着を着た女性が少なくとも三十人。中年の女性から若い娘まで、年齢層は広い。彼女たちは広い部屋をほとんど埋め尽くし、音楽の拍子に合わせて、激しく体を揺らし続けていた。 指導しているのは、ベスト姿で、腕が太く筋肉の引き締まった四十歳の中年男性、泉田健三。彼自身も動きながら、鬼教官のように怒鳴り、彼女たちを励ましていた。 「休むな! もうひと踏ん張りだ! さあ、1、2、1、2――そう、それでいい」 彼の号令とともに、女性たちの息はますます荒くなり、あたりには独特の熱気が立ち込めていた。 すごい脂肪熱だ――健三は滴る汗を手で拭い、そっと呟いた。 脂肪熱。女性が痩せに挑み、余分な脂肪を燃やそうと、むだな努力を繰り返しているとき、全身から立ちのぼる、湿って温かく、殺気立った「熱」の俗称である。 「よし、1、2、1、2――腰! 脚! 腰! 脚! そう、その調子だ!」 健三の熱血指導は続いた。彼は単なるコーチではない。この「フィットネス・ラボ」の経営者であり、数多くの痩身体操を考案し、運動の普及に努める名の知れた痩身の専門家でもある。その著書と痩身体操のDVDは、馬鹿みたいにいつまでも~続くダイエット・ブームのなかで、間抜けみたいにいつまでも~売れ続けている。 そのなかで彼は、鬼コーチ「泉田館長」の役も演じ、熱血指導する超過激で過酷な(ほとんど実行不可能と言ってもいい)痩身体操のDV……
## 魔法使いと二つの署名
1 薄暗い部屋に、話し声はない。音楽もなく、笑い声もない。あるのは、規則正しく繰り返される呼吸の音だけ。そして、紙とペンが擦れるサラサラという音。 一人の男が机に向かって座っている。目の前にはノートと一枚の年賀状。あまり明るくないスタンドの光が、彼の手のあたりだけを照らしていた。右手に万年筆を持ち、開いたページへ休みなく書き続ける。ペン先はサラサラと、流れるように調和した音楽を奏でるかと思えば、時おりカチカチと引っかく音を立て、軽快な旋律を刻んだ。ノートのページは、しだいに黒いインクの文字で埋まっていく。 ついに一ページを文字で埋め尽くすと、男は疲れたように息を吐いた。 「悪くない……だが、まだ完璧じゃない……」 男は指先で一ページめくり、目の前の空白のページを見つめ、気を取り直して万年筆を握った。 薄暗い室内に、再び紙とペンの擦れる音が響く。 男の手の動きに、迷いはまったくない。機械のように正確に、書き続けた。 白いページは、またたく間に黒字に占領された―― 矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦、矢川照彦…… 2 松浦宏一が生まれて初めて披露した物真似は、「担任の藤本が、宿題を忘れた吉田を怒鳴りつける」というものだった。振り返れば、それが人生最大の転機だったのかもしれない。 当時、宏一は中学二年生。普段の教室では目立たない存在で、いったい何が……
## 魔法使いと代打男のアリバイ
1 七月下旬のある夜のことだった。日中の熱気がまだ完全には冷めていない、大都会・東京のど真ん中―― 神宮外苑に建つ野球の聖地・神宮球場は、強烈な照明に照らされ、あるスワローズのチームと「多摩川全家隊」が熱戦を繰り広げていた。スタンドには、片手にメガホンを持ったファン、仕事帰りのサラリーマン、試合などそっちのけで盛り上がっているカップルなどが座り、入りは六割ほど。そのなかに、八王子署が誇る次世代の星・小山田聡介が、次々世代の星・若杉刑事を連れ、左翼側のスタンドに座っていた。 「そうだ、先輩。ビールでも飲みましょう。ビール! ビール! ビール!」 「わかったわかった、いいって言ってるだろ、もう手を叩くな! ビールには賛成だ。ただし、おれは奢らないからな」 聡介は単刀直入に、自分の財布を狙う若杉刑事へ予防線を張ると、ビールを売っているバイトの男に手を挙げた。「ああ、ちょっと、お兄さん、ビー――」 「わ、だめ、だめ!」 若杉刑事は慌てて、聡介の挙げた手を引き下ろした。「先輩、何考えてるんですか? なんであんな奴からビールを買うんです!」 「あ!? あんな奴? おまえ、あのバイトの男を知ってるのか?」 「はあ!? なんでおれがあんな奴を知ってなきゃいけないんですか?」 若杉刑事の言葉は、ちんぷんかんぷんだった。だが、知らない相手を「あんな奴」と呼んだ若杉刑事は、勘違いに勘違いを重ねるように持論を披露した。「先輩、見てください。この神宮球場には、馬鹿みたいに試合に熱中している大……