マカロン少女の地球千年の旅

NOVEL · SECTION 01 OF 01 · 日本語

マカロン少女の地球千年の旅 — Section 1

挿絵:https://www.bilinovel.com/novel/1040/120437.html。台湾版。軽之国度より転載。著者:からて。イラスト:わんにゃんぷー。画像提供:陽子ようこ。入力:zbszsr。画像加工:二猫&cocy。軽之国度 www.lightnovel.cn。個人の学習・交流のみを目的とし、商用利用を禁じます。ダウンロード後は24時間以内に削除してください。LKは一切の責任を負いません。画像提供・入力・校正に携わった方々の労苦をご理解ください。テキストファイルの改変は禁止です……

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THE READING ROOM

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Contents · 1 sectionsSection 1

01 / 01

Section 1

## 挿絵

台湾版 軽之国度より転載 イラスト:わんにゃんぷー 修図:二猫&cocy 個人の学習・交流に限る。商用利用を禁ずる ダウンロード後は24時間以内に削除すること。LKは一切の責任を負わない 画像提供、入力、校正に携わった方々の労を汲んでほしい テキストファイルの改変は不可。転載の際は必ずこの情報を残すこと ———————————————— あらすじ 毎日の、何の変哲もない日々が、いつまでも続くとは限らない…… いつも影のように寄り添っていた親友が、ある日、時空トンネルの向こう側へ落ち、千年後へ行ってしまった。 親友の行方を追うため、マカロンが大好きな無邪気な少女は、科学の人体実験に参加して不死身の体を手に入れ、千年の旅を始める。 そのあいだ地球は、さまざまな恐ろしい問題を経験する――疫病、温暖化、隕石の衝突、異星人の来襲、核兵器、放射線…… マカロンの少女は、最後に、彼女だけの幸福を手にできるのだろうか? これは、日本のネット小説界で注目を集める新人作家と、ニコニコ動画で人気の絵師が、協力してお届けする短編集である。 収録されるのは、マカロンが大好きな無邪気な少女が千年を生き抜く物語、セメントと話せる少女の物語、 そして一編一編が、幸福で、切なく、かわいくて、少し不思議な物語。 奇妙な異星人パラポロプルルの恋物語、蝉の王国から来た蝉子の物語……

## 第1話 マカロン少女の地球千年の旅

目を開けると、そこには澄みきって透きとおった、果てしない青空が広がっていた。 明るい空に、少女は少し目を細める。 青い空を仰ぎながら、セメントの上を一歩一歩進んでいく。 いつもの日常。 いつもの青空。 物語は、そんな、眩しい陽射しが世界をきらめかせ、初夏の風がそこかしこをすり抜けていく、いつもの一日に起こった。 ただ、これまでと違うのは、研究室にミコの姿が見えないことだった。 「明日、話があるの」 昨日、彼女は自分からそう言ったはずなのに。少女は不満げに呟いた。 それから腹立たしげにポケットからマカロンを取り出し、口に押し込んで大口で噛み砕く。 ここから先は、そんな、マカロンが大好きな無邪気な少女の、幸福な物語である。 * 少女とミコは、ずっととても仲がよかった。 いつも一緒で、影と形のように離れなかった。 ミコの姿が消えたあの日まで、少女は、こんな日々が永遠に続くものと思っていた。 「教えてよ、いったい何があったの?」 少女がマカロンを噛みながら、ミコの所属する研究所の人たちにそう尋ねても、所の人たちは「外国に連れていかれたのかもしれない」とか「ワームホールにどうにかされたのかもしれない」とか、まったく意味のわからないことばかりをぼそぼそと言うだけだった。 「わかんないよー!もっと簡単に言って!」 少女がさらに焦って問い詰めると、所の人たちは困ったように頭を掻いた。 ミコが姿を消した原因は、ほとんどまだ調査の途中で、いまのところ誰にもわからないのだ。 「彼女、明日には帰ってくる?」 ミコは一度だって約束を破ったことがない。きっと、自分の口で話してくれる。 「わかった!」 ……

## 第2話 セメントと話せる少女

少年は、手の中に頼んでもいない温かさを感じて、目を開けた。 白い天井に反射する光に、思わずもう一度目を閉じる。見たことのない天井だった。 少年が目を覚ましたとき、三十そこそこの看護師が彼の手を握り、点滴を打とうとしていた。 看護師は少年が目覚めたのを見て、まず少し驚き、すぐに病室を出て医者を呼びにいった。そのパタパタと急いで走る足音は、まるで別の世界で起きていることのようだった。 彼の目の前には、相変わらず、生気を欠き、どこか現実味のない病室の光景が広がっている。 「あなたの病気は、不治の病です」 医者の口から直接そう告げられたのは、それから少しあとのことだった。 少年は、死に至る病だと宣告された。 偏差値はいっこうに上がらず、なぜかクラスにも溶け込めない。 友達はほとんどおらず、味気ない高校生活を送っていた。 クラスのボスに目をつけられ、毎日いじめられていた。 未来の可能性は日に日に狭まり、前途は暗い。 ことが起きたのは、彼が人生にうんざりしはじめたときだった。 だから少年は、低く自嘲するように「だったら、ほかにどうしようがある」と呟き、釘を打ち込んだバットを握って教室へ踏み込んだ。 少女は、セメントと話ができる。 大学に通う姉は知らない。毎日、女の人に高級シャンパンをおごってもらっているつばさも、たぶん知らない。 ハワイアンダンスの先生と不倫している母は知らない。妻と子を捨てて行方をくらました父も知らない。 アフリカで飢える孤児たちも、そして彼女とつばさの、この世界の空気を吸って生きる機会すらなかったあの子も、きっと知らない。 でも少女は、いつも心の中で思う。「だったら、ほかに……

## 第3話 パラポロプルル ペロポロパラポン

今日もわたしは、できるかぎり、彼女がこの美しい世界で幸福に生きていけますようにと願っている。 宇宙船の窓の外、闇の中で瞬く億万の星の光が、わたしの手の上の灰を照らしている。 いつかこの宇宙とひとつになる彼女が、いつまでも笑顔でいられますように。そのときわたしの心を占めていたのは、そんな非現実的な空想だった。 同時に、彼女の面影が脳裏に浮かぶ。 「ねえ、生きているって、いったい何のためなの?」 誰もいない宇宙船の中で、わたしは細かく思い返す。 一億年前に、彼女が言った言葉を。 それは昨日のことのように鮮やかで、たまらなく懐かしい記憶だった。 「大好きだよ~」 ペロポロパラポンは、わたしの七十六の目を見つめてそう言った。 マカロンを一小片食べてほろ酔いになったペロポロパラポンの顔には、うっすらとエメラルドグリーンが差していた。 いつもと違うペロポロパラポンに、わたしは動揺した。 なにしろペロポロパラポンは、ふだんわたしに話すとき、いつも棘のある言い方しかしない。こんなふうに甘く甘えてくるのは、生まれて初めてだった。 ペロポロパラポンの、ころころとした七十の目があまりにかわいくて、わたしは彼女の三十五の顔をまともに見ることができなかった。 ペロポロパラポンが緑の触手をくねらせながらそう言うと、わたしはますます顔を赤らめた。 わたしはうつむき、一言も言えなかった。 それでも、三千五百四つの心臓は、警報のように速い速度で、百二十デシベルの音を打ち続けていた。 ペロポロパラポンは、わたしの鼓動も聞いていたのだろうか? ペロポロパラポンはこんなに酔っていて、……

## 第4話 嘘をつく蝉、青く澄んだ空

「ミーン――ミンミン、ミーン――ミンミン。わたし、セミだよ!」 漆黒に染まった空の下で、正体の知れない異様な生き物の声だけが、あたり一面に響き渡っていた。 夏も半ばを過ぎた、ある蒸し暑い夜。住まいの外で突然そんな声がして、尋常でない恐怖に、わたしは手足の置き場を失った。 これはどういう状況だ?何が起きた?断片的な考えが頭の中をかき回し、目がくらむ。 布団に潜って耳を塞いだが、音が収まるのをいくら待っても収まらず、かえってどんどん大きくなる。今日はもう体の具合が悪かったのに、その声は容赦なく鼓膜を叩き続けた。 「言い間違い!わたし人間だよ~人間だから怖くないよ~早く開けて――!ねえ~早く開けて――!開けてよ――!早く開けて――!開けて――!わたし変な人じゃないから、安心して開けて――!ねえ――!」 その正体不明の生き物が扉を力いっぱい叩くと、築四十年、三坪のワンルームというオンボロアパート全体が揺れだした。古い扉がギシギシと鳴り、その音はアパートの隅々まで伝わっていく。 恐怖と不安で、目の前がぐるぐる回る。突然の事態に、頭がほとんどショートしそうだった。 「開けてよ――!わたし変な人じゃない、本当に人間なんだから!」 その正体不明の生き物は、かわいい声で、自分が人間だとことさらに強調し続けた。でも、まともな人間が「本当に人間なんだ」なんて言うわけがない。明らかに、彼女は人間ではない。 「家にいるの、わかってるよ!わたし本当に変な人じゃない!蝉でもない!だから怖がらないで、早く開けて!早く開けて――!殺人犯――!レイプ魔――!ロリコン――!……

## あとがき

甘いものが好きなわたしは、よくシュークリームを食べながら、部屋でひとり鏡に向かって「どうしてわたし、こんなに幸福なんだろう!世界ってきれいだなあ!」などと呟いている。 ただ、わたしは人と話すのが苦手なので、人と話したあとも、よく部屋でひとり鏡に向かって「疲れた……どうしてわたし、こんなに不幸なんだろう……世界の終わりは、どうしてもっと早く来ないんだろう……」などと呟いている(こんな人生に、まだ救いはあるのだろうか)。 けれどもご存じのとおり、甘いものが嫌いな人がシュークリームを食べても幸福にはならないし、人付き合いが得意な人も、人と話しただけで不幸にはならない。 だから、幸福とはいったい何なのかわからないわたしは、よく部屋の白い壁に向かって「じゃあ幸福って、いったい何なんだ!」などと呟いている。ただ、そんなことをしてもわかるようにはならないので、いっそカスタードプリンをがつがつ食べて、少し落ち着かせることにしている(とても幸福)。 結局のところ、幸福の定義は人によって違う。だから傍観者には、当事者が幸か不幸かを判定することはできないはずだ。 本書のタイトル『マカロン少女の地球千年の旅』に登場するマカロンの少女は、最後に千年を生き、そして穏やかに永遠の眠りについた。傍観者の目には、ひとりの少女が千年生きて、最後に命が終わっただけに見えるかもしれない。 でも、その最後の瞬間、当事者は本当に、とても幸福だったのだろう。 だからわたしの中で、この物語はHappy Endingである。 ほかの短編にも悲しみと喜びはあるけれど、わたしはどれもHappy Endingだと思っている。 もしかすると、傍観者の視……

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